MAK127
MAK127月面撮影システム 
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月面 2022年12月20日 05:44 Sky-Watcher Mak127(へリコイド最長) ASI2600MC(ゲイン350・5ms×2000フレーム・70%スタック) 撮影:久保庭敦男様
月面は細くても太くても、私はこれくらいの撮り方で行います。月齢に応じて変えるのは感度(ゲイン)のみです。リムの白飛びを抑えつつ欠け際が引き立つよう、デジタル覆い焼きをしています。

<久保庭敦男さんのコメント>
閑話休題、今回の皆既月食に先立ってかねてより「月面全体を気軽に撮影する機材」を探していました。それまで私は1000mm以下で小さく写すか、高倍率デジカメ単体で写すか、あるいは2000mm以上の長焦点で分割撮影したものをモザイク合成するかの三択でした。1000mm以下やデジカメ単体では画質が悪く、またモザイク合成は手間がたいへんですと、途中で曇られると完成しません。
今回、タイミングの良いことに、Sky-WatcherのMak127を使用する機会がありました。実際に使ってみると月がAPS-Cサイズのセンサーにぴったり収まり、月面全体撮影の最強機材と感じました。
普段私は2インチスリーブを多用するため、接眼部はBORGパーツでM42P0.75→M42P0.75→M57AD【7528】M57ヘリコイドDXII【7761】2インチホルダーM【7505】とつないでカメラ類を差し替えられるようにしました。途中にM57ヘリコイドDXII【7761】を入れたのは大正解で、本体のピントつまみだけでは絶対無理な超精密ピント出しが可能になり、主鏡移動に伴う不安定さも激減しました。
ご存知かも知れませんが、マクストフ光学系+主鏡移動方式では、主鏡を押す(ピント面を鏡筒から離す)ほど実焦点距離が延びます。公称値1500mmのMak127も添付画像の組み合せでは1600~1800mm位になって、事実上の「ズーム望遠鏡」になるんです。実際に試してみて本当に驚きました。つまり三日月から満月まであらゆる大きさの月全体を、適切な大きさでセンサーに収めることが可能ヘリコイドを最短付近と最長付近で使い分けるだけでもセンサー面をギリギリまで有効活用できます。他の望遠鏡ではマネできないメリットですね。
10月16日以降の「ほんのり光房」のブログ記事で月全面画像はほぼ100%Mak127で撮っており、今回の皆既月食でも大活躍でした。冷却カメラなどを付けるとボトムヘビーですが、添付画像位置でバランスがとれます。なお保持を堅牢にするため元々のアリガタレールは外し、鏡筒バンド方式にしてあります。(MORE BLUEさんのTB012-内径145mm軽量鏡筒バンドがジャストサイズでした。)

<中川昇の視点> 
久保庭さん、大変貴重な情報をありがとうございます。正直、Mak127がここまで月面の全体写真に向いた光学系だとは知りませんでした。「ほんのり光房」のブログ記事で月全面の画像が非常に良く撮れている(例えばこちら)ので、以前から「機材は何を使われているのだろうか?」「良くここまでコンスタントに解像した月の全面写真が撮れるものだ」と感心しておりました。今回の投稿でその謎が解けました。Mak127は、そのコストパフォーマンスの高さから以前から人気がありましたが、現在品切れ中で、納期が2023年3月の入荷予定です。ここのところシーイングがあまり良くないので、春先の好シーイングに期待して今から予約を入れておくのもひとつの選択肢だと思います。さらにすでにMak127をお持ちの方は上記3点のBORGパーツの予約を入れておいてはいかがでしょうか?久保庭さんもおっしゃるようにM57ヘリコイドDXII【7761】の効果は絶大ですよ。
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いま話題のZTF彗星(C/2022E3) 2022年12月25日3:50 Sky-Watcher Mak127(ヘリコイド最短) ASI2600MC(ゲイン450・90秒×40コマ・冷却-10度) ダーク/フラット補正・メトカーフコンポジット・若干トリミング・リサイズ・上が天の北 撮影:久保庭敦男様

<撮影者のコメント>
諸事情で撮影場所を変える選択肢が取れないため、街灯の直接光が5m以内、車両のヘッドライトを浴びる可能性も多い道路際という劣悪環境での撮影です。懐中電灯無しで新聞が読めます。空全体が光害で明るいだけなら光害カットフィルターなど有効ですが、こうした直接的な迷光に対しては無力です。飛びモノ撮影に明るい光学系が必須のように、移動天体に対してFの大きな光学系は不利。でも、微弱であっても突発的な迷光があるなら、明るい光学系はとても弱いです。今回は敢えて「逆にFを大きくする」選択をしました。適切な状況下であれば問題なく写せるひとつの例になるでしょう。※Fが大きいため速写向きではなく、短時間で変化する尾のディティールなどは写せません。

<中川昇の視点>
久保庭さんからMak127による彗星の画像と興味深いコメントもいただきました。今話題のZTF彗星です。直接的な迷光に対してはFの暗さが良い方向に働くという貴重な情報です。久保庭さん、今年も色々とお世話になりました。2023年も引き続きよろしくお願い致します。
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