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月面X&月面LOVE(202/02/19) BORG72FL  撮影:中川昇
さて4/19(月)の夕方~21時すぎにかけて月面Xが見頃となります。今回は月面Xのピークの時間帯において月の高度も十分高く、晴れれば好シーイングも期待できるなど、かなりの好条件です。
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月面X&月面LOVE(2020/04/30)BORG72FL 撮影:中川昇
今回の月面Xは月の秤動の関係で上弦1日前に起こります。よって月の形は上の写真に近い形状(半月よりも少し欠けた状態)になります。
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月面X&月面LOVE(2020/02/01)BORG90FL 撮影:中川昇
月面Xが見られる時間とほぼ同じ時刻に月面LOVEも見えます。LとE(Eは裏文字)の文字の見え方がやや微妙なので見やすい時間が限られています。詳細はこちらから。
【追記】月面Eは裏文字ですが、考えたら天頂プリズムで見ると正立のEになりますね。
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月面X&月面LOVE(2021/02/19)BORG72FL 撮影:中川昇
撮影時の注意点としては、月の南北をきちんと合わせる。ブレとピントに注意。とにかく数を撮りましょう。
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月面X&月面LOVE(2019/08/08)BORG90FL 撮影:中川昇
この日は上弦1日過ぎに月面Xになりました。「月面ペンチ」「月面前方後円墳」とも呼ぶべき形状です。
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月面X&月面LOVE(2018/05/22)BORG107FL 撮影:加曽利哲也様
上の写真のように薄明時にX字状になる日もあります。だんだんと空が暗くなっていき、X字がだんだんと浮かび上がってくる。こんなタイミングに出会えるのも月面観察の醍醐味のひとつです。しかもこの日は上弦の月。そうするとほぼ真上からXを見る形になるのでXの字も一層美しく見えます。ユニテックの加曽利さん、素晴らしい作品をありがとうございます。
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■月面Xの正体 作図:久保庭敦男様
月面文字地形といえばいつもお世話になっている久保庭さんです。緑色の線の地形がX字状に見えるのです。
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■月面Xの正体 作図:久保庭敦男様
Xの正体見たり。昔「遊星からの物体X」という映画がありましたね。
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月面Xの正体 撮影:東田守生様
月面撮影の第一人者である東田守生さんによる月面Xの正体です。5個のクレーターに接している場所が光の加減でX字状に見えるのだということが分かります。月面観察の醍醐味のひとつです。
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月面名所案内 作成:久保庭敦男様
月面Xや月面LOVE、月7↓などの位置がよく分かります。久保庭さんありがとうございます。
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中川昇の月面名所案内~月セブン
今回4/19は月面七福神のうち、1位(アルタイ断崖)、3位(アリアディウス谷とヒギヌス谷)、4位(静かの海・ラモント付近)の地形を見ることができます。
【追記】4/20の夕方は第2位の「直線の壁」が見頃となります。壁を見るチャンス。本頁最下部も参照。

<中川昇の目線> 
今回も東田さん、久保庭さん、加曽利さん、月面の画像のご協力をいただき誠にありがとうございます。月面Xが面白いのは、同じ地形でも毎回見え方が変わって見えるところです。まず天気。次に透明度。さらに夕方の早めの時間にちょうどXが欠け際に来るタイミングかどうか?そして意外と影響が大きいのが月の秤動によって月面Xの見える角度が変化すること。今回の月面Xの画像も1枚1枚位相が異なっているのが良く分かります。さらに季節によって月の高度も変化。シーイングも毎回変わります。今日見る月面Xは今日だけの姿なのです。よって、天気さえ良ければ必ず見るようにしたいものです。慣れてくると「2021年4月19日の月面Xは秤動は過去最高だったよね」という会話が成立するかもしれません。少なくとも2021年に見える月面Xの中では最も好条件といえると思います。
とここまで書いた後、4/18の夕方に近所の公園に月面の撮影に出かけたところ…何とこの季節とは思えない悪シーイングに見舞われました。ピントが合わせられないほどの悪気流。遠くの富士山がくっきりと見えるほど透明度が高かったので、気流が悪かったのは仕方ないかも?明日も天気は良さそうなので、シーイングが安定してくれることを祈るばかりです。月面Xは拡大率を欲張らない方がいいかもしれませんね。
とここまで書いて気が付いたことがあります。月面の観察&撮影がなぜこんなに自分を惹きつけるのか?についてですが、「空気のある地球から空気のない月面を見る」という行為そのものに面白さが潜んでいるのではないか?ということに気が付きました。月面を見るという行為を通じて、「地球には空気というものが存在しているんだなあ」と実感するのです。うまく表現できないのですが、他の行為で「この地球に空気があるんだ」とここまで実感できる行為は他に思い浮かばないのです。死の世界である月面を通して「目に見えないけれどとても大事なもの」を確認できるというのはとても興味深いことです。というわけで4/19はなるべく早く帰宅して準備したいと思います。
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■地球照(2021/04/18)BORG90FL直焦点 オリンパスE-P5 ISO1250 3/5秒 固定 撮影:中川昇
昨日は思わぬ透明度の高さで地球照がよく写りました。月の昼間が夜の部分にかなり食い込んでいます。
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■富士山(2021/04/18)BORG90FL直焦点 オリンパスE-P5 ISO200 10秒 撮影:中川昇
富士山も予想外にクリアーに写りました。透明度が高い証拠です。
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【追記】直線の壁が4/20(火)の夕方に見頃 撮影:東田守生様
今日4/19の月面Xは全国的に晴天に恵まれて良く見えそうです。そして明日4/20は中川昇の月面名所案内第2位の「直線の壁」が見頃となります。上弦の月と直線の壁というベストマッチング。ほぼ真上から見ることになります。これは見逃せません。見所は南北に伸びる壁の影。よく見ると影が一様ではなく凸凹しています。その影の形から壁の形状が想像できます。さらに壁の西側(写真の左側)にある小さいが周壁がハッキリとしたクレーター「バートクレーター」とさらに西側に南北に伸びる弓状の谷「バート谷」。さらに西側に広がるシワ状の地形「リンクルリッジ」。月面のあらゆる地形が集合している宝庫です。これはたまりません。
【追々記】
中川昇の月面名所案内第6位のコペルニクスの見頃4/21(水)、第5位の虹の入江の見頃4/22(木)となります。
【さらに追記】
いやあ、見事な月面XLOVEでしたね。気流もまずまずで満足しました。次回の月面Xは6/23です。(4/19・21時)