さて7/17(水)の晩、実に久しぶりに晴れたので待望のムーンフィルターの実戦投入がようやく出来ました。そのレビューを以下にアップ致します。
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ムーンフィルターを使用しない時のイメージ(2019/07/17) BORG67FL オリンパスEP-5 ISO100 1/200秒 手持ち 撮影:中川昇
今回はBORG90FLにニコンのフィールドスコープ用のアイピースを装着して、そのアダプター【7162】(BORG生産中止品)の先にムーンフィルターを装着して満月観望をしました。倍率的には約30倍前後と思われます。まずは、ムーンフィルターを装着しない時の眼視のイメージを上の写真で表現してみました。ノーフィルターでは眩しすぎてとてもまともに見る気にならないというのが正直なところです。歌で表現すると「眩しすぎるお前との出会い♪」という感じです。
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■透過率50%のムーンフィルターを使用した時のイメージ(2019/07/17) BORG67FL オリンパスEP-5 ISO100 1/300秒 手持ち 撮影:中川昇
次に光量を半分にするフィルターを装着してみました。あまり期待しないで覗いてみましたが、これが見やすい。光量が半分になるだけで眼への刺激が明らかに少ない。ノーフィルターだと眼が拒否反応を示している感覚があるのですが、その拒否反応が明らかに減り、月面の細部に自然と眼が向きます。歌で表現すると「見てみてみてみてサンタモニカ♪」という感じです。
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■透過率25%のムーンフィルターを使用した時のイメージ(2019/07/17) BORG67FL オリンパスEP-5 ISO100 1/500秒 手持ち 撮影:中川昇
さらに光量が1/4になるフィルターを装着してみた感じに近いのが上の写真です。全体的に明るさが抑えられる(決して暗いという感じではない、瞳が開くからだろうか?)のでとても見やすい。というか「満月ってこんなに良く見えるものなの?知らなかったよボク」という感覚です。月面の魅力にはまって約50年。恥ずかしながら今回初めて知りました。
【追記】シュミットのスタッフからリクエストがあったので、ここも歌で無理やり表現すると「月がとっても青いからムーンフィルター買って帰ろう♪」…失礼しました。
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■今回使用したアイピース:ニコンフィールドスコープ用アイピース+BORG製ニコンFS用AD【7162】+ムーンフィルター各種
今回、ムーンフィルターの2枚重ね、3枚重ね、4枚重ねでも実視してみました。意外とシャープさが落ちませんでした。moon&Skyglowフィルター単独でも使用してみました。全体にピンク色がかるのが気になりましたが、コントラストは上がるようです。NDフィルターと組み合わせて使用したらピンク色が消えました。コントラストの良さは保たれたままのような気がしましたが、その後雲が押し寄せてきて細部は確認できずでした。でも晴れて良かったです。ムーンフィルターによる月面観望は楽しいです。

【中川昇のムーンフィルターレビュー:満月編】
●フィルターなしの状態は眩しすぎて眼の負担が大きい。NDフィルターを装着した後にフィルターなしの状態に戻してみるとフィルターなしが、いかに眩しすぎる状態なのかが良く分かる。もう戻れない。
●一番濃度の薄いフィルター(透過率50%)を1枚だけ装着したところ、即効果を実感。見やすい。眼と脳が喜んでいるのが分かる。
●2枚重ね、3枚重ね、4枚重ねでも意外と解像感は落ちない。ただし、天頂プリズム併用だとフィルターの厚みでアイピースが最後まで差し込めなくなる。
●moon&Skyglowは月がピンク色に見えるが、コントラストは上がる。NDフィルターと併用するとピンク色は目立たなくなる。
●濃い目のムーンフィルターを使うとなぜか月面の暗斑が目立つ(浮かび上がるような感覚)ようになる。
●海の濃淡の模様も良く見えるようになる。例えば雨の海の溶岩の流れの跡などがはっきりと浮かび上がる。
●明るい地形が暗くなった効果で瞳が開くせいか、暗い海の部分がかえって見やすくなる。
●月面に雲が通過した時と似た効果があるようで、フィルターを通すと今まで気が付かなかった地形に気が付くことが増える。明るいクレーターの内壁も良く見るようになる。
●満月時に急に輝き出す小さくて丸いクレーター達が発見しやすくなる。
●今までみていた満月は本当の満月の姿ではなかった。考えてみると満月は真上から太陽光が当たっているので、地形がまる見え状態。眩しささえクリアー出来れば地形を観察するのにこんな好条件はない。
●千葉天体写真協会の例会は満月前後の日曜日開催だったが、今後は満月を避けるかもしれない。
●むしろ、満月を観察する会を開くべきかも?
●「満月はのっぺらぼうで面白くない」というのは眩しさのせいだった。もともと人間の眼は能力が高く、適当な明るさに調整さえしてやれば、本来の肉眼の画像処理能力で相当楽しめるはず。
●今後の観望会は「積極的に満月を見る」方向に変わっていくかもしれない。
●「満月の夜ほど良く晴れる」は神様が「もっと満月を愛でなさい」という意味だったのか?
●夏~秋の満月は南中高度が低く、家の中やベランダからでも見やすい。中秋の名月もあり、これから満月の見頃を迎える。
●よく考えたら口径90mmでこの効果。口径200mm以上になったら低倍率+ノーフィルターで見る満月は眼に良くないレベルかも?大口径ユーザーほどその効果をより実感できるはず。よく観望会でお客さんの瞳に月が投影されている場面があるが、「ちゃんと視野に月が入っているんだな」と思うと同時に「眩しくないだろうか?」「フィルターをかけてあげたらもっと長時間見てくれるかも?」と気遣うのも大切かも?
●その後のムーンフィルターのレポートはこちら(6/26)とこちら(8/10)とこちら(8/17)。

<中川昇の目線>
「満月は月面の表面の全てがいっぺんに見える貴重な日」。ムーンフィルターはそういう認識を持たせてくれる意外と重要なアイテムでした。このムーンフィルター、世界的に良く売れているのか?次回の国内の入荷はごく少量。すぐに無くなると思います。というわけでどうしても使いたいという方以外はもう少しお待ちになった方がいいかもしれません。
天文ファンの中でも「満月は星が良く見えなくなるので嫌い」という方は多いです。でも「満月の夜は良く晴れるんだよなあ、不思議と」という方も多い。そうならば満月を積極的に楽しむのが正解かも。このムーンフィルターによって「満月の夜が好きになる」人が増えるといいなあと思いました。
そういえば時代劇で「満月の夜ばかりじゃないぜ」というセリフが出てきますが、あれは電気の無い時代でも満月があれば夜道を歩くことが出来るが、月がない夜は本当の闇夜なので「夜道を歩くときはせいぜい気をつけなよ」という脅し文句です。それほど満月は生命と直結していたということでもあります。※7/23ムーンフィルター2回目の入荷分完売。次回入荷未定。
さて、明日はアポロ11号の着陸地点の記事をアップ予定です。あれから50年。多くの天文ファンの原点ともいえるあの世紀の瞬間に皆さんといっしょに想いを馳せたいと思います。
※追記:7/20・11時~NHKEテレで「追体験!アポロ11号の8日間」の再放送中です!