今月からその月毎に楽しめる天文現象を中川視点を通してご紹介したいと思います。いつまで続くか分かりませんが、なるべく私しか書けないディープなネタも含めて情報発信したいと思います。※情報は追加・修正する場合があります。

7月4日(木)の夕方:細い月と火星が大接近
月齢2の月と火星と水星が接近します。「月火水」が並ぶという話題性もある現象です。そして昼間(14-15時頃)には月に火星が隠される火星食が起きます。ただ、太陽に近くかなり見にくい現象となりそうですが、珍しい現象なのでお時間のある方はぜひ狙ってみてください。
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■月齢3.6 BORG90FL 撮影:加曽利哲也様 ※上を北に表示
月齢2ということは上の写真の月よりもさらに細く、さらに見にくくなります。普段ならあまり注目されませんが、月の東縁のクレーターや海を見るチャンスでもあります。また、透明度が良ければ地球照も期待されます。

7月13日(土)月と木星が接近
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■木星 2019/6/19 00:47~01:09JST EdgeHD800 + TV PMx4 + ZWO ADC + ASI385MC 90sec 25%スタック 12コマ De-rotation Nexstar Evotuion 架台自動追尾 撮影:根本泰人様(東京都江戸川区)
木星はへびつかい座にいて見頃を迎えています。7月13日(木)は月のすぐ東(左側)に輝いているのですぐに分かると思います。天体望遠鏡で見ると大赤斑周辺が急激に変化している様子を見ることが出来ます。

7月15日(月)夜~16日(火)明け方月面A出現。
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月面A 撮影:東田守生様(大阪府)※上を南に表示
7/15-16は月面Aが見える日です。7/15は祝日でもあり、比較的好条件と思われるので、晴れればぜひチャレンジしてみてください。東田さんの月面A情報はこちら。ほんのり光房さんの月面Aの記事はこちら、月面Aの具体的な時間等はこちら。本ブログの月面Aの記事はこちら。ちなみに月面Xの方は7月は見るのに適さない月です。

7月16日(火)月と土星が接近
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■土星 2019/6/19 01:15~34JST EdgeHD800 + TV PMx4 + ZWO ADC +ASI385MC 10,000フレーム 25%スタック 9コマ De-rotation Nexstar Evolution架台自動追尾 撮影:根本泰人様(東京都江戸川区)
土星はいて座で7/10に衝を迎え見頃を迎えています。7/16(火)は月の西側(右側)に明るく輝いています。土星の環と本体のバランスが良く、いかにも土星らしい姿が楽しめます。土星のすぐ近くにある月は7月17日朝に満月を迎え月食↓となります。

7月17日(水)明け方・部分月食(西日本方面)
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■半影月食 BORG50FL 撮影:中川昇
今回は西日本では明け方に月が欠けながら沈む「月没帯食」になります。東日本では半影月食しか見られません。半影月食とは上の作例写真のように満月の一部がうっすらと暗くなる現象です。月が低い上に空が明るくなってからの現象なので見にくいとは思いますが、晴れたらぜひ早起き(4時過ぎ)してみてください。この日は当然満月なのでセレストロン ムーンフィルターセット 31.7mmの出番でもあります。7月は15,16,17日と私の人生暗かった~♪ではなくて、3日連続で天文ファンには忙しい夜になりそうです。

7月21日(日)アポロ11号着陸50年後の着陸地点が見える。
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■月面:アポロ11号着陸地点の位置 BORG107FL 撮影:加曽利哲也様(文字は中川記入)※上を北に表示
7月21日~22日にかけて、晴れればアポロ11号着陸地点付近を好条件で見ることができます。
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■月面アポロ11号着陸地点(下弦側)撮影:東田守生様(大阪府)※上を北に表示(文字は中川記入)
天候とシーイングに恵まれたら、この歴史的瞬間の写真を記念に撮りましょう。
7/18にNHKBSNHKBSで「同時代体験!アポロ月面着陸」を放送します。


7月28日(日)の夜明け前:ヒヤデス星団食
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■2015年のアルデバラン食 36ED+1.1×【7110】 撮影:山内壮介様
7月28日の夜明け前におうし座のヒヤデス星団が月に隠される現象が起きます。晴れれば星団の星々が月に隠されては現れる現象が楽しめます。7月一番の天文現象と言えるかもしれません。

■7月のシュミットのおすすめパーツ
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セレストロン ムーンフィルターセット 31.7mm 
7月の満月は17日です。この日は上でも紹介しましたが部分月食&半影月食があります。買うなら今かも?
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ZWO ADC大気分散補正プリズム31.7mm
惑星撮影の際、低高度では地球上の大気中を光が斜めに通過する為、プリズム効果によって惑星の上下に色にじみが発生します。45度以上の観測高度ではあまり問題にならないのですが、夏季の惑星の観測条件の良い時期ほど南中高度は低くなり、高度30度程度以下での観測や撮影を余儀なくされる場合が多くあります。その際に大気差による色滲みによって解像度が低下してしまいます。 ZWO ADCは、その色収差を打ち消す補正プリズムを通すことで、大気分散を補正してクリアーな惑星像を得ることが可能になります。

<2019年7月中川の視点>
2019年7月の目玉は木星や土星ももちろんありますが、個人的には何といっても「月面」です。アポロ11号着陸50年でテレビでも多くの特集が組まれることでしょう。そんなタイミングで7/21-22にアポロ11号の着陸地点が好条件で見られるのです。アポロを同時代に体験した人も未体験の人もこの歴史的寸簡を天体望遠鏡で追体験してみませんか。また、7月は部分月食ヒヤデス星団食など月絡みの現象が立て続けに起こります。テレビでも月が地球や生物に与える影響について毎日のように報じられています。これからは月の時代になると確信しています。

※追記:7/3(水)は南米日食です。千葉天体写真協会のメンバーがチリに出かけているので、晴れれば作例をお見せ出来るかもしれません。

★7月はシュミットサマーセールが行われます。7/5~7/31。詳細はこちら。