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■月面:雲の海~直線壁付近(下弦側) 撮影:東田守生様(大阪府)※上を北に表示
大変お待たせをしました。中川昇の月面名所案内第2弾です。月面名所案内第1弾も東田さんのご協力をいただき、お陰様で大変多くのアクセスをいただきました。ありがとうございます。第2弾も月の名手東田さんのご協力の下、5/27に下弦を迎える月面の名所案内をさせていただきたいと思います。
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■月面:直線壁付近(下弦側) 撮影:東田守生様(大阪府)※上を北に表示
具体的な地名は下の写真に文字を入れましたので、そちらを参照ください。今回取り上げた「直線壁」は私の月面の名所おすすめの地形の中でもベスト3に入る絶景です。実は私が月面写真にはまったきっかけは1974年頃に天文ガイドに掲載された台湾の天文家による直線壁~雲の海付近の素晴らしい月面写真を見て大きな衝撃を受けたことからです。今回の東田さんの写真はその時のインパクトを上回る実に素晴らしい写りです。
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■月面:雲の海~直線壁付近(下弦側) 撮影:東田守生様(大阪府)※上を北に表示、文字は中川記入
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■月面:直線壁付近(上弦側) 撮影:東田守生様(大阪府)※上を北に表示
上の3枚の直線の壁は下弦側なので直線壁に太陽光が当たり、白く輝いています。一方この写真は上弦側なので直線の壁の影が海に黒く落ちています。反対側の光線状態で見ると同じ地形でもいかに違って見えるかが良く分かります。(6/11追記)

それでは具体的な名所をいっしょに見ていきましょう。
<雲の海~直線壁付近の名所ご紹介>
◎直線壁:長さ110㎞、高さ300mの月面有数の断層です。上弦側と下弦側で見え方が全く違いますが、特に下弦側の方が壁に太陽光が当たって光輝くのと雲の海のシワが浮き出てみえるのでより見応えがあります。いずれにしても欠け際にきた時が見頃ですが、その前後も目が離せません。この「直線壁」という地形を認識出来るようになると、そこから周辺の地形をつながりで覚えられるようになりますので、まずは直線壁を覚えることが月面にはまる第一歩です。直線壁の詳細な解説はこちらから。
◎バート谷:直線壁のすぐ西側(写真左側)にある長さ50㎞、幅1.5㎞もある弓形をした谷です。この谷がくっきりと写るかどうかが良く撮れたかどうかの目安のひとつになりますが、写りやすい光線状態は限られています。バート谷の北端(写真上側)はドームで終わっています。
◎雲の海のシワ:これは通好みの対象ではありますが、私は大好きです。シワはシワでも品のあるシワというか繊細なシワなのです。このシワの良さが分かるようになればあなたも一人前のムーンフェチです。
◎ピタトス:クレーターの周囲に沿うように谷が走っている点がまずポイント。さらにクレーターの周壁が意外に高く、欠け際に来るとギザギザの山がクレーターの中に影を落とします。これが実に美しいのです。月は常に変化していることを実感できる場所です。ピタトスの拡大写真はこちらから。
ヘシオドスA:月面でも数少ない貴重な二重クレーターです。ヘシオドスのオの字のすぐ上に写っていますが、見事に二重です。東田さんによるヘシオドスAなどの二重クレーターの詳細な解説はこちらから。
キース:このクレーターは周壁が非常に低く、クレーターの内部が海と同じ物質で構成されています。さらに周囲にはドームやシワや微小クレーターの宝庫なので連続して観察すると次々と見所が現れては消える場所です。キース付近の拡大写真はこちらから。
ブリアルドス付近:ブリアルドスの周囲にも海に溶け込んだような埋もれたクレーターが多くあります。特に直線壁側方向にはリボン状のシワが無数に見られるので見飽きることはありません。
ヒッパルス谷付近:写真の端っこで見にくいですが、3本の谷が平行に走っています。この谷が幅を持って写るようになれば相当なレベルです。ヒッパルス谷の詳細な解説はこちらから

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■雲の海の位置 BORG125SD 撮影:中川昇

<今回のまとめ>
まずお伝えしたいのは、月面は光と影が常に変化をしているので「毎日見頃の地形がある」であるということです。今日と全く同じ光線状態は2度と現れないといっても良いくらいです。さらには、天候の問題、気流状態(シーイング)や透明度の問題、月の赤緯(南中高度)の問題、秤動の問題、撮影者個人の事情、等々の要素が複雑に絡み合うので、「今晩の月は今晩限りである」という認識を持つと撮影のモチベーションが上がるかと思います。とはいえ、過去の経験からいうと日本の場合、総合的には夏~秋が月を見たり撮ったりするベストシーズンだと思います。そのベストシーズンを迎える前に月面の地形の知識を身に着けていただき、絶好のチャンスをものにしていただきたい、というのが私の願いです。連載第3回も梅雨に入る前に記事をアップしたいと思います。とりあえず、5/27の下弦の月に向けて「直線壁」を探すことから始めましょう!幸い、日本ではしばらく好天が続きそうです。※5/25・0時過ぎに東の空から赤い月が昇ってきました。

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